為替の変動を読むためには

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 FXで利益を上げるためには、外国為替の変動を先読みする必要があります。外国為替の変動は、一言で言えば世界各国の政治・経済の変化と連動して起こるものですから、常にニュースに対しては敏感でいなくてはなりませんが、中でも特にどのようなポイントに注目すればよいのか、ここで基本的な4つの要因をまとめます。

(1)需要関係…輸入/輸出の関係
(2)ファンダメンタルズ…経済指標などに表れる、経済の基礎的要因
(3)テクニカル要因…チャートによる相場変動
(4)その他の要因…戦争等

 次に、これら4つについて詳しく説明します。
 需給関係というのは、国同士で行われる需給、つまり「買うこと」と「売ること」のバランスを指しています。平たく言えば、輸入/輸出のバランスです。

 日本にはトヨタ、松下電器等たくさんの輸出型企業があります。これらの企業が外国に製品をたくさん売れば売るほど、自然に円高になっていく、というのが需給関係による為替変動の基本です。では、何故そのような動きになるのでしょうか。

 貿易における代金の支払いは、基本的にドルで行われています。トヨタがアメリカに自動車を売るときには、アメリカからドルでその代金を受け取るのです。そしてトヨタが社員に給料を支払うためには、このドルを一旦日本円に換えなくてはなりません。このとき、「大量のドルが売られ、日本円が買われる」という動きが起こります。すると、結果的に、大量に買われた日本円の価値があがり、円高が起こるわけです

 このように、日本の輸出企業の業績が為替相場に強く影響するということは、知っておくべきでしょう。
 ファンダメンタルズというのは、各国の経済安定のための諸条件のことで、たとえば物価や国際収支失業率などさまざまな数値の総称です

 たとえば日本の景気が良くなってくれば円高になりますし、アメリカの景気が良くなるとドルが高くなるわけですが、こうした景気の推移を知るための指標が、このファンダメンタルズなのです

 特に、日本とアメリカのファンダメンタルズはよく見ておくべきです。たとえば失業率の高さの問題というのは日本とアメリカの共通の問題点ですが、この失業率の推移が景気の推移を示すということは十分に考えられることです。もちろん、アメリカの失業率が低くなればドル高になり、日本の失業率が下がれば円高になると考えられるでしょう。

 その他の細かなファンダメンタルズの見方については、後に詳しく説明します。
 テクニカル要因というのは、チャートの動き自体によって為替レートが動くことです。

 外国為替を動かしている巨額の外貨を運用しているプロのディーラーたちが、過去の相場の動きからチャートの流れを分析し、次に「上がるか、下がるか」を予測して大きく外貨を取引することがあります。たとえばディーラーたちが「1ドル=100円を割ることはないだろう」という予測の元に相場変動を判断して外貨を動かすとき、それはチャートの動き自体が相場を動かしている一例と言えるでしょう。
 以上で説明した為替変動の要因は比較的緩やかな予測を可能とするものですが、それ以外に突発的な要因で大きく為替が動く場合があります。

 たとえば戦争やテロがこれに当たります。9.11のテロのとき、10日ほどの間に1ドル=5円以上の円高が起こったのは記憶に新しい一例と言えるでしょう。

 かつて外国為替には「有事のドル買い」という格言があり、戦争などが起こったときはドルを買うと良いと言われていましたが、最近はそうとも限らないケースが多く、「有事のスイスフラン買い」というのが新しい格言として定着しつつあります。
 それでは次に、具体的に為替の変動を読むために見るべき数値(ファンダメンタルズ)について紹介します。

 まず、アメリカの経済指標としては、以下のようなものが挙げられます。

(1)米国雇用統計
(2)米国GDP
(3)米国消費者物価指標(CPI)
(4)米国卸売物価指標(PPI)

 これら4つの項目について、次に説明します。
 米国雇用統計とは、一言で言えばアメリカの雇用状況を示す様々な数値を項目ごとに示したものを言います。

 具体的には、失業率、非農業就業者数、製造就業者数、小売業就業者数、週労働時間、平均時給など10項目が発表されています。

 とりわけ外貨投資の上で注目したいのは、このうち「失業率」と「非農業就業者数」の2項目です。

 これら2項目が低下している場合、ドル安に向かう傾向にあると考えられます。なお、アメリカの雇用統計の発表は翌月初旬となっています。
 GDP(Gross Domestic Product:国内総生産)とは、一定期間内に国内全体で新たに生産された財やサービスの付加価値額を合計したもので、国内全体で行われている経済的な「生産活動」を数値化したものです。

 言うまでもなくこのGDPの伸び率が高ければ高いほどアメリカ経済が活発化していることになりますので、その場合、ドル高に向かうことが予測できます。

 なお、米国GDPは商務省によって四半期ごとに発表されています
 米国消費者物価指標(CPI)とは、都市部の消費者が商品や各種サービスに対して支払った価格動向を示す指標で、簡単に言えば物価の上昇/下降を表しています。CPIを見ることで、インフレが起こることをある程度予測できるといわれています。

 一般にインフレは一時的な金利上昇を招くといわれていますが、ある程度までこれが進むと、逆に経済成長の鈍化を招くとされています。急激にCPIが上昇している状況では、インフレが近づきつつあることを意識しておくべきでしょう。

 なお、CPIはアメリカ労務省から毎月15日前後に発表されます。
 米国卸売物価指標(PPI)とは、アメリカ国内製造業者の販売価格(卸売価格)を約1万品目にわたって調査したものです。前述の消費者物価指数(CPI)と同じく、インフレ率を判断するための基準のひとつとなります。

 このPPIも、CPIと同じく毎月15日ごろにアメリカ労働省から発表されます。
 次に、日本の経済指標の見方について説明します。日本の景気が上向きになれば円高が進む、というのが外国為替投資における基本的な考え方ですが、具体的にどのような数値を見れば、日本の景気が上向き/下向きになっていることをキャッチできるのでしょうか

 基本的には前項まで出説明したアメリカの経済指標と重なりますが、特に注意すべき項目は、以下の5つです。

(1)景気動向指数
(2)日銀短観
(3)機械受注統計
(4)GDP(国内総生産)
(5)有効求人倍率

 次に、それぞれの数値の意味を説明します。
 景気動向指数とは、その名の通り、景気が上向きであるか、下向きであるかを数値化したものです。景気に関する様々な要素を総合的に判断した結果はじき出された数値ですので、手っ取り早く「日本の景気は良くなっているのかどうか?」ということを知りたいときには、まずこれを見ると良いでしょう。

 景気動向指数には「先行指数」「一致指数」「遅行指数」の3種類があります。先行指数とは景気に先立って上下する数値、一致指数はほぼ現在の景気と同時に上下する数値、そして遅行指数は景気に遅れて上下する数値です。

 それぞれ、50%という数値を超えていれば景気が上向きになっており、下回っていれば景気が下向きになっていることがわかります。

 たとえば「一致指数」が50%を超えているときは現在の景気状況が過去よりも上向きになっていることがわかりますし、「先行指数」が50%を超えているときは、これから先景気が上向きになると予測できるわけです。

 この3つの数値の中で最も注目すべきなのは、現状の景気を示す「一致指数」です。一般に、3ヶ月連続でこの「一致指数」が50%を上回っているときは「景気拡大局面」、下回っているときは「景気後退局面」と呼ばれ、それぞれ好況/不況に向けて大きく流れが変わることを示しています

 なお、この景気動向指数は毎月内閣府から発表されています
 日銀短観とは、日本銀行が国内の景気の現状と先行きについて、約10000社の企業に対しアンケートを行った結果をまとめたものです。正式名称は「企業短期経済観測調査」です。

 各社の生産・売り上げ状況などの客観的な数値と、今後の計画・見通しについて企業が抱いている判断値の両方を考慮した結果を数値化しているので、より正確に「日本の企業が実際に現況の景気についてどう考えているのか」を知る判断材料になるといえるでしょう。

 日銀短観は日本銀行より四半期ごとに発表されており、4,7,10,12月のそれぞれ中旬に発表されています。企業への調査の翌月には発表されていますので、かなり速報性の高い情報でもあります。
 機械受注統計とは、機械製造業を行っている280社の受注額の統計です。

 この額を見ることで、民間企業が自社の工場設備の増強にどの程度積極的になっているかがわかります。企業が設備の増強に積極的になっているということは、景気の先行きを明るいものと判断しているということになりますし、また、設備を整えること自体によってその企業が経済的に成長することも見込めます。こうした意味合いで、機械受注統計が上昇しているようであれば、国内の景気も上向きに進むであろうことが予測できるわけです。

 なお、この機械受注統計は、内閣府より四半期ごとに発表されています。発表日は6,9,12,3月のそれぞれ10日前後となっています。
 アメリカの経済指標の中でも登場したGDP(Gross Domestic Product:国内総生産)とは、国内に居住する人によって生産されるモノやサービスの合計額を表すものです。GDPが上昇傾向にあるということは、国内の生産活動がより盛んになっていることを示しますので、日本の景気が上向きになっていると判断できます。

 なお、GDPと似た指標でかつて強く注目されていたものにGNP(国民総生産)というものがありますが、こちらは海外在住の日本人、海外に展開している企業の生産高を含んだ数値になっていました。これに対してGDPは日本国内で生産活動を行っている在日外国人や外資企業の生産高も含んでいます。日本でも大いに国際化が進んでいますので、「日本人/外国人」ということにこだわらず国内の経済活動を評価するGDPのほうが、よりシビアに景気と連動すると考えられるようになってきたのです。
 有効求人倍率とは、職業安定所での求人数を、求職者数で割った数値です。言い換えれば求職者1人あたりにある求人の割合ということにもなりますので、この数値が高ければ高いほど、仕事が見つけやすい状況であることがわかるといえます。

 たとえば有効求人倍率が1倍を超えていれば「求職者1人につき1つの求人がある状態」であり、1倍を下回っているときは「求職者1人につき1つの求人がない状態」なので、就職するのが難しい状況、つまり不景気であることがわかります。

 最近では、失業率よりもこちらの数値を景気と結びつけて考える方が主流となっているようです。

 また、この有効求人倍率は、毎月「26日を含む週の金曜日」に厚生労働省から発表されています
 以上、アメリカと日本の景気動向を占うための代表的な指標について説明してきましたが、外国為替相場が日々細かく変動する要因は、これらの数値だけではありません。為替の変動は、世界中のあらゆる政治・経済に関するニュースに連動して起こるのです。新聞やテレビのニュースで流れている情報に対して常にアンテナを張っておくことが、外為投資の上達への第一歩です。

 また、チェックするべきなのは政治・経済に関するニュースだけではありません。オリンピックやワールドカップ、野球のWBCなどの大規模なスポーツ行事なども、世界の経済に大きく影響を与えます。「どの国でオリンピックが開催されたら、どの国でどのような経済効果が上がるだろう?」といった洞察を常に持ちながらニュースに接していく姿勢が何よりも大切といえるでしょう。

【要人発言最重要人物】

1.FRB議長
2.ECB総裁
3.米財務長官
4.米各地区連銀総裁
5.日銀総裁
6.各国金融担当高官
7.日本の財務省財務官



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